今回は【⑸専門家としての矜持と、経営者としての成功】についてお話します。

院長を悩ます2つの欲求

開業から数年経過した先生とお話しすると
「獣医師としてのスキルアップにもっと専念したいのに、余計な仕事が多すぎる」
という声を聞くことがあります。
余計な仕事とは、資金繰りや広告戦略、労務問題、人材確保等といった経営全般の仕事のことでしょう。

みなさん、多かれ少なかれ、こういった気持ちを持っているように思います。
動物病院の院長先生は、専門家であり、経営者でもある。

ここが、他の多くの業種とは違う点であり、悩ましい側面と言えるでしょう。
問題のあるスタッフをどうするか、インターネット上の口コミ対策、資金繰りの問題、採用方法…などなど
そういった問題に頭を抱えていると
『私はこんなことで悩むために獣医師になったんじゃない!』
なんて、言いたくもなりますよね。

とは言え、誰に強制されたわけでもなく始めた経営者生活。
それに、勤務医時代と比べて収入はずいぶん増えたはず。

経営者としての仕事を放棄する方法はありません(実は一つありますが、これは後日お話します)。

  • お金をたくさん稼いで豊かな暮らしをしたい(以下、「経営者的欲求」)
  • 技量を磨き一級品になりたい(以下、「専門家としての欲求」)

ほとんどの方が両方の気持ちをお持ちではないでしょうか。

そして、一方を完全に捨てれば、もう一方も成り立たなくなります。
これは両立させるべきものであって、いずれかを選択する、という話ではありません。

大事なのは、2つのバランスです。
自分には“どのくらいのバランスがベストなのか”を考えて意識する。

目指すべきバランスを明確に出来れば、
“なんでこんなに頑張っているのに稼げないのか”
“余計な仕事ばかりでスキルが心配”
といった悩みは消え、二度と現れることのないでしょう。

経営者的欲求

考える順番としては、まず「経営者的欲求」つまり自分の欲しい収入です。
こちらの方が優先という意味ではなく、数値化言語化がしやすいからです。
自分の欲しい収入を決めたら、その他の固定費を集計し、必要な売上を逆算します。

経営計画を策定するのです。
お一人でやるより、顧問税理士と相談しながら考えてください。
漏れや勘違いを排除するためです。

経営者的欲求の最低ラインは「生活を維持できる収入を維持すること」。
これだけは動かない点と考えて、自分の働き方をデザインします。

専門家としての欲求

今度は、上記「経営者的欲求」を実現できることを前提に、やること、やらないことをリストアップします。
例えば、獣医師としてのスキルのため、チャレンジしたい施術がある。ただし、時間的金銭的コストは重い。
といった仕事について、先生が受けるべきか、他所の大きな医院を紹介してしまうか。

この判断を、「経営者的欲求」の実現を不可能にするものであるか、そうでないかを基準にするのです。
自分がどんなゴールを目指しているのかーーできる限り数値化、言語化してます。

ここまでしてしまえば、あとは現状とのギャップを埋めるために何をすべきかを考え、立案したアクションプランを実行していくのみです。
モヤモヤしている暇は無くなります。

当然のことながら、このバランスは状況、心境に応じて修正を加えて構いません。
というより、定期的な見直しをかけるべきでしょう。

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 次回は

 ⑹いくら稼げばあなたの医院は継続するのか

 についてお話します。
今回お話した、「経営者的欲求」に大きく関わります。

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話してほしいテーマ、個別の相談があればお気軽に下記メールアドレスまでご連絡下さい。

satoh-akifumi@tkcnf.or.jp
佐藤

動物病院税務特化チームを持つ税理士法人YFPクレアの動物病院の税金、税務、経営コラム

次回もお楽しみにお待ちください

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投稿者プロフィール

佐藤
佐藤
税理士 
税理士法人YFPクレア渋谷オフィス オフィス長

1979年埼玉県生まれ。
獨協大学 法学部卒
2008年株式会社YFP総合会計入社(2009年税理士法人YFPクレアへ転籍)
入社以来、多くのスタートアップ企業の創業に携る。
得意分野は金融機関対策、事業計画、事業承継。