こんにちは、監査部佐藤です。
以前から、複数回にわたって創業前に確認すべきこと、知っておくべきことについてお話してきました。
今回のテーマは「エンディングをイメージする ~老後を見据える 退職金は長期間で準備する~」です。
さて、いきなり老後のお話です(笑)。
これから開業される方に老後の話も変な気もしますが、タイトルで書いたとおり、退職金準備は長期的におこなったほうが有利です。
経営者は老後資金を自分で用意しなくてはいけません。
違う言い方をすると、経営者は老後資金の作り方を、自分で選択・設計することが可能です。
今回は、経営者として知っておきたい老後資金をつくるための制度や方法をご紹介差し上げます。
全部、かなりざっくりのお話です。
詳しくは、ご自身でお調べになるか、私にメールして聞いてください(笑)。
→satoh-akifumi@tkcnf.or.jp
漏れなく営業かけますので(笑)、税理士お探し中の方のみでお願いします。
①小規模企業共済
これは基本中の基本です。
対象者 :要件を満たす個人事業主、法人の役員
関係税目:所得税、住民税(間接的に法人税)
細かいお話は、中小機構公式HP「小規模企業共済」をご覧いただくとして、ざっくりの使い方をものすごく簡単に言うと、
【働いているうちにお金を預けておいて、引退するときに大きくしてもらって返してもらう】
【生涯トータルの所得税・住民税がだいぶ減額される】
つまり、預けておくとその分節税効果があり、金額そのものも大きくしてくれて、しかも退職金という課税がされにくい形で返してくれる、というものです。
ただし、加入期間や解約理由によってはこのとおりではないのでご注意ください。
加入資格は、下記のURLを参考にしてください。
https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/eligibility/index.html
掛け金は、月額最低1,000円、最大70,000円。
年間にして12,000円~840,000円。
月払いも年払いも可能です。
下記でシミュレーションをどうぞ。
小規模企業共済制度 加入シミュレーション
②経営セーフティ共済(倒産防止共済)
対象者 :要件を満たす個人事業主、法人
関係税目:所得税、住民税、法人税
この共済の本来の目的は連鎖倒産の防止ですが、動物病院については連鎖倒産はありえないので、その場合の利用方法については説明を省きます。
私は、これを退職金準備のために使うことをお勧めします。
こちらも細かい話はこちらで↓
https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/features/index.html
上記①の小規模企業共済と一番違うところは、「預けたお金は増えない」ことです。
じゃあどうして加入するのか。これを説明します。
経営セーフティ共済は、個人事業主でも加入できますが、その魅力が一番発揮されるのは法人です。
一言でその魅力を言うと、決算書の利益を1円も減らさずに、法人税を減らすことができるということです。
これをやりながら、退職金のための資金をストックしていきます。
経営者になると、多かれ少なかれ、次のようなジレンマを感じることになります。
「利益を出したい」
「でも法人税は少なくしたい」
法人税は法人の利益に対して課税される税金です。
なので、利益が大きくなれば法人税も大きくなります。
税金は誰でも払いたくないものだとは思いますが、利益を出さないことには事業の継続は不可能です。
また、金融機関の評価は、ほぼほぼ利益次第です。そして金融機関の評価は、経営上の命綱です。
結果、このジレンマが生まれるわけです。
経営セーフティ共済は、このジレンマをすり抜ける唯一のアイテムです。
経営セーフティ共済の掛け金は、決算書上、経費にはならず、「保険積立金」という資産に計上されます。
利益は1円も減らないのです。
これを法人税の申告時に、「利益から経営セーフティ共済分だけ引いてくださいね」と申告書で調整してあげることによって、法人税を減らす、というわけです。
かくして、利益を大きくしたまま、法人税を減額できました。
「あれ?退職金の話はどうしたの?」
はい、これはあくまでも退職金対策の回です。ここまでを踏まえて、退職金対策に向けたお話をしましょう。
経営セーフティ共済は、掛け金支払い時は、利益を減らさずに法人税を減らすことができるものだ、とお話しました。
では、受けったときはとうなるのか。
何もしなければ、掛け金支払い時と逆のことが起こります。
つまり、 決算書上の利益は1円も増えないのに、法人税は増えてしまう。
この事態をどうするのかというと、解約のタイミング(=受け取るタイミング)と先生の退職のタイミングを合わせます。
役員退職金という経費とタイミングを合わせることで、結果的に、経営セーフティ共済の解約金に対して法人税が課税されるタイミングがなくなります。
掛け金は、月額最低5,000円、最大200,000円。
年間にして60,000円~2,400,000円。
小規模企業共済同様、月払いも年払いも可能です。
積立の上限は、一法人800万円までです。
また、法人の場合。1期目は加入できず、2期目以降に加入できます。
おわりに
その他、退職金制度については、また随時触れていきます。
とりあえず、今日のところはここまでです。
よろしくお願いいたします。
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投稿者プロフィール
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税理士
税理士法人YFPクレア渋谷オフィス オフィス長
1979年埼玉県生まれ。
獨協大学 法学部卒
2008年株式会社YFP総合会計入社(2009年税理士法人YFPクレアへ転籍)
入社以来、多くのスタートアップ企業の創業に携る。
得意分野は金融機関対策、事業計画、事業承継。
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